肩インピンジメントは、投球や送球時の肩関節内で腱や滑液包が挟まれることによって炎症や痛みが生じる障害です。
肩インピンジメントは、2種類あります。
- 内旋インピンジメント(肩前方に痛み)
- 外旋インピンジメント(肩後方に痛み)
特に、野球選手や投球動作を繰り返すアスリートに多く見られます。以下、その詳細と予防法について説明します。
肩内旋インピンジメントとは?
肩内旋インピンジメントは、肩関節が強く内旋(肩が内側に回転)することで肩内部の構造が挟まり、ローテーターカフ腱(特に棘上筋)や関節唇が衝突してしまう状態です。これにより、肩の炎症や痛みが生じ、動作が制限されることがあります。
この障害は特に投球動作を繰り返すことで生じやすく、腱や滑液包が肩峰(肩の骨の一部)に圧迫されてしまうことが原因です。また、反復的な肩内旋により、肩の可動域や安定性が損なわれやすく、パフォーマンスにも影響を与えることがあります。
投球フェーズのどのタイミングで起きやすいか?
肩内旋インピンジメントは、投球動作の「Late Cocking(後期コッキング)」と「Acceleration(加速期)」で特に起きやすいです。
- Late Cocking(後期コッキング)
- このフェーズで肩は最大外旋され、肩内部の構造が引き伸ばされると同時に、内旋への準備が始まります。ここで無理な外旋や内旋が加わると、肩内旋インピンジメントが起こりやすくなります。
- エキセントリック損傷
- このフェーズで肩は最大外旋され、肩内部の構造が引き伸ばされると同時に、内旋への準備が始まります。ここで無理な外旋や内旋が加わると、肩内旋インピンジメントが起こりやすくなります。
- Acceleration(加速期)
- この段階で肩は急速に内旋し、ボールをリリースに向けてスピードが上がります。この時に肩関節内部で腱や滑液包が圧迫され、インピンジメントを引き起こすことがあります。
- コンセントリック損傷
- 肩甲帯の前傾(後傾のコントロール不良)
- この段階で肩は急速に内旋し、ボールをリリースに向けてスピードが上がります。この時に肩関節内部で腱や滑液包が圧迫され、インピンジメントを引き起こすことがあります。
肩外旋インピンジメント
肩外旋インピンジメントは、肩を外旋させる動作中に、肩の構造内部で腱や滑液包が肩甲骨や肩峰に挟まれる状態を指します。ローテーターカフの一部である棘上筋や棘下筋が圧迫され、これが炎症や痛みの原因になります。肩を外旋した状態で上に持ち上げる動作が繰り返されることで、腱や滑液包が損傷しやすくなります。
この障害は外旋だけでなく、外転(腕を横に上げる動作)との組み合わせでも発生しやすい特徴があります。
投球フェーズのどのタイミングで起きやすいか?
肩外旋インピンジメントは、投球動作の「Late Cocking(後期コッキング)」で特に起こりやすいです。
- Late Cocking(後期コッキング)
- このフェーズで腕が後方へ引かれ、肩が最大の外旋角度に達します。肩内部ではローテーターカフが引き伸ばされ、関節内の圧迫が強まるため、棘上筋や棘下筋が肩峰に押し付けられるリスクが高まります。
- 肩への負担: 肩を極端に外旋させることで、腱や滑液包が肩峰に挟まれやすくなり、ここで炎症や損傷が発生します。
このフェーズで肩外旋インピンジメントが起こりやすいのは、最大の外旋が発生し、肩の安定性をローテーターカフが強く支えなければならないためです。繰り返しの負荷によって腱に摩擦が生じ、損傷が蓄積されやすくなります。
予防エクササイズ
予防エクササイズとしては、インピンジメントが起きてしまうローテーターカフの強化はもちろんですが、投球動作の時に肩関節の動きがメインになるのではなく、あくまで左右の胸郭が別々に動いた動きに肩甲骨・肩関節・腕が安定した状態でつられて動かないと、いくらローテーターカフや肩周りの筋肉を鍛えても予防はできません。
まずは、
- 胸郭が動くかどうか?
- 左右の胸郭で別の動きができるか?
- 胸郭の動きに肩甲帯と腕が連動して動くか?
を大事にしていきます。動きができているかどうか?を確認していきます。
⚠️こちらは解説・指導風景動画含め、一部有料コンテンツとなっております。
左右の胸郭の動きの分離と肩関節との連動
これらは自分一人では中々簡単ではありません。
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