怪我肩・肩甲帯野球

投球・送球で起きやすい怪我 – ローテーターカフ損傷

怪我
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ローテーターカフの損傷は、特に野球などの投球や送球を繰り返すスポーツ選手に多く見られる障害です。ローテーターカフは、肩関節の安定性を保ち、肩を様々な方向に動かす役割を持つ4つの筋肉群で構成されています。

ローテーターカフの構造と役割

ローテーターカフを構成する4つの筋肉は以下の通りです:

  1. 棘上筋(きょくじょうきん)
    • 肩を外転(腕を横に上げる動作)する際に重要。
  2. 棘下筋(きょくかきん)
    • 肩を外旋(腕を外側に回す動作)する際に重要。
  3. 小円筋(しょうえんきん)
    • 棘下筋と共に肩の外旋を担う。
  4. 肩甲下筋(けんこうかきん)
    • 肩の内旋(腕を内側に回す動作)をサポート。

これらの筋肉が共同して肩関節を安定させ、広い可動域を保つことで、力強くスムーズな投球や送球動作が可能になります。

ローテーターカフ損傷の原因

ローテーターカフの損傷は、オーバーユース(使いすぎ)や過剰な負荷によって引き起こされることが一般的です。投球や送球では、肩関節が急激に外転や外旋されるため、繰り返しの動作がローテーターカフに過度なストレスをかけます。このため、以下のような症状や損傷が発生することがあります:

  • 腱炎(けんえん):腱に炎症が生じる。
  • 腱の部分断裂:腱が部分的に切れる。
  • 完全断裂:腱が完全に切れてしまう。
  • インピンジメント:肩関節内で腱や滑液包が挟まれ、炎症や痛みを伴う。

投球動作のどのフェーズで怪我が起きやすいのか?

特にローテーターカフ損傷のリスクが高いのは、

Late Cocking(後期コッキング)

Acceleration(加速期)

この2つのフェーズで肩に最大の外旋や内旋の負荷がかかるため、腱や筋肉に大きなストレスがかかります。投球動作の各フェーズと、ローテーターカフに与える影響について詳しく説明していきます。

1. ウィンドアップ期

  • 概要: 投球動作の最初の段階で、体のバランスを取り、体重を片足に乗せながら、次の動作へとつなげる準備を行うフェーズです。
  • 肩への負担: このフェーズでは肩への負荷は少なく、ローテーターカフに対する特別なストレスはかかりません。
  • 目的: 主に全身のリズムとタイミングを整えることが目的で、力を蓄える準備を行います。

2. Early Cocking(初期コッキング)

  • 概要: ピッチャーが片足で立ちながら、肩を後方に引き、上半身を回旋させ始めるフェーズです。この段階でエネルギーを蓄え、次の加速に備えます。
  • 肩への負担: 肩関節が少しずつ外旋され、肩の後方に負荷がかかり始めます。ここからローテーターカフが関与し始め、肩を安定させる働きが求められますが、この段階ではまだ大きな負担はかかりません。
  • 目的: 下半身と上半身を協調させ、力を最大限に引き出すための基礎的な動作です。

3. Late Cocking(後期コッキング)

  • 概要: 腕がさらに後方へ引かれ、肩が最大外旋の位置に到達するフェーズです。このフェーズの終わりにかけて、ボールが最も後ろに位置します。
  • 肩への負担: この段階で肩は最大限に外旋され、棘上筋、棘下筋、小円筋が強く引き伸ばされ、肩の安定性を保つために大きな負荷がかかります。この外旋ストレスが繰り返されると、腱の炎症や断裂のリスクが高まります。
  • 目的: このフェーズで溜めたエネルギーを、次の加速へとスムーズに移行させるために使用します。

4. Acceleration(加速期)

  • 概要: 腕が前方に振り出され、肩関節が急速に内旋するフェーズです。この加速により、ボールが高速度で投げ出されます。
  • 肩への負担: 急激に肩が内旋されるため、肩甲下筋には大きな負担がかかります。この瞬間的な負荷により、腱や筋肉に損傷が起こるリスクが高くなります。また、肩関節の構造全体に大きなストレスがかかるため、反復的に行われると負担が蓄積し、故障の原因となります。
  • 目的: 蓄えたエネルギーを解放し、ボールを目標に向けて勢いよく投げ出すことが目的です。

5. Release(リリース)

  • 概要: ボールが手から放たれる瞬間のフェーズです。
  • 肩への負担: この段階では肩関節やローテーターカフへの大きな負荷はかかりませんが、リリース直後に急激な減速を行うため、その準備が肩に与える影響があります。
  • 目的: ボールをコントロールし、正確に目標へ届けるための重要な瞬間です。

6. Follow Through(フォロースルー / 減速期)

  • 概要: ボールをリリースした後に、腕が振り切られ、動作が終了するまでのフェーズです。ここでは、急速に動いていた肩の動きを抑制するための筋力が求められます。
  • 肩への負担: この減速期では、肩関節を制御するために棘下筋や小円筋が強く働きます。急な減速がローテーターカフに負担をかけるため、使いすぎによる疲労や炎症が蓄積されやすいフェーズです。
  • 目的: 投球動作全体の流れを止めずにスムーズに完了させ、次の投球や動作への準備を整える役割を担います。

特にリスクが高いのは「後期コッキング期」と「加速期

特にローテーターカフ損傷のリスクが高いのは、**Late Cocking(後期コッキング)Acceleration(加速期)**です。この2つのフェーズで肩に最大の外旋や内旋の負荷がかかるため、腱や筋肉に大きなストレスがかかります。投球数の管理や休息、適切なウォームアップ、ローテーターカフの強化トレーニングが損傷予防に重要です。

ローテーターカフ損傷の症状

  • 痛み:肩の上げ下げや内外旋で痛みが生じる。最初は軽い違和感から始まることが多いが、放置すると痛みが増す。
  • 可動域の制限:特定の動作が難しくなり、特に腕を上げる動作が制限される。
  • 筋力低下:ローテーターカフが傷つくことで、肩を安定させる力が弱まり、筋力が低下する。
  • 夜間痛:特に夜間、肩に痛みを感じることが多く、睡眠が妨げられる場合もある。

ローテーターカフの予防エクササイズ

プロ野球選手も毎日練習前に行っている肩チューブエクササイズ動画と、強化として行えるトレーニング動画を随時更新していきます。

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