この論文では、287人のプロ野球投手と59人の高校野球投手を対象に、投球動作中の
✅体幹側屈角度と肩肘の負荷の関連性
✅体幹側屈角度と球速の関連性
について研究されています!
まず、プロ野球投手 vs 高校野球投手で比較すると
プロ投手は高校投手と比べて、前足着地時の同側への側屈角度が大きかった。
プロ野球投手間での比較では、
前足着地時の同側への側屈角度が10°大きくなる毎に、
✅肘内反トルクと肩内旋トルクが小さい
✅球速が0.2m/s 速い
という相関を発表しています。
一般的に
✅トルクが大きい=体への負荷が大きい=怪我のリスクが高い
✅球速が速くなると、トルクや負荷が大きくなる
のですが、この論文からは、同側への側屈角度が大きい投手ほどトルクをが小さいうえで球速が速かったという、ありがたい内容の結果に。
前足着地時の同側への側屈角度を意識することで、体への負担を減らしながら球速を上げられる可能性がある。
と解釈できそうですね!
高校投手間での比較では、
ボールリリース時の同側側屈よりの投手と対側側屈よりの投手で比較すると、
✅対側側屈よりの投手は同側側屈よりの投手より肩上方への力がが大きい
✅対側側屈よりの投手は同側側屈よりの投手より肩前方への力がが大きい
✅球速に有意差はなし
という結果に。
言い換えると、同側側屈よりの投手は対側側屈よりの投手と比べて肩上方への力と肩前方への力が小さかった。という結果に。
高校投手での比較では、プロと違ってボールリリースの時の比較であり(プロは前足着地時)、肩にかかるForce/力(プロは肘の内反トルク)ではありますが、プロ同様、同側側屈よりの投手の方が体にかかる負荷は小さかったという結果でした。
まとめ
”前足着地時”で過度の同側体幹傾斜を示す投手(プロ・高校生両方)は、”ボールリリース” で過度の対側体幹傾斜を示す投手と比較して、同等のボール速度で投球腕運動学
※高校生投手の場合は、肩前方への力&肩上方への力
※プロの投手の場合は、肩内旋トルク&肘内反トルク
が一貫して有意に低下していることが示された。
さらに、プロの投手は高校生投手と比較して、
✅投球の早い段階で有意に大きい同側体幹傾斜を行っていた
この同側への体幹側屈(対側側屈制限)は、投球腕の力学を最小限に抑えながら適切なボール速度を維持する、高レベルな投球フォームな可能性がある。とまとめられています!
これだけでは部分的な情報だけですが、体幹側屈角度は肩肘へのストレスに大きく関わりそうですね。
参照
Manzi, Joseph E., et al. “The influence of excessive ipsilateral trunk tilt on upper-extremity throwing mechanics: A newly characterized parameter for biomechanical evaluation in high school and professional pitchers.” Journal of shoulder and elbow surgery 31.9 (2022): 1909-1921.