内転筋が硬くなりやすい理由
内転筋(太ももの内側にある筋肉群)は、日常生活や運動中の姿勢や動作のクセによって、他の筋肉に比べて硬くなりやすい部位です。その理由は、筋肉の役割や日常的な使われ方、姿勢の影響などが関連しています。
1. 内転筋の主な役割
内転筋は、大腿を内側に引き寄せる(内転させる)動作に関与し、以下のような役割を持っています。
- 骨盤の安定化
- 股関節の安定化
- 歩行やランニング時の脚のコントロール
特に骨盤の位置を保つために常に負担がかかりやすい筋肉であり、疲労が蓄積されやすいです。
骨盤の安定化
運動連鎖的に、股関節内旋は骨盤を前傾させる作用があります。そして、内転筋群は大腿骨を内旋させる役割も担っている筋肉が多いため、内転筋群は骨盤の安定化に関わってきます。
内転筋群が硬くなってしまうと、骨盤前傾位に止まってしまい、後傾動作に制限がかかります。
逆に、内転筋群が収縮できないと骨盤を前傾位に持って来れなくなるため、スクワットやスポーツ動作でのパワーポジション等で骨盤を立たせた状態をキープする事が難しくなり、結果的に股関節引き込み(パワーポジション・臀部活性)が出来なる。
そうすると、骨盤が不安定になることで大腿四頭筋・ハムストリングへの負荷が上がり、肉離れに。
2. 硬くなりやすい主な理由
(1) 過度の緊張や使用過多
- スポーツの影響
サッカー、野球、テニスなど、サイドステップや横方向の動きが多いスポーツでは、内転筋が頻繁に使われます。また、激しい方向転換や急停止の動作は内転筋に負担をかけ、筋肉が緊張しやすくなります。 - 日常生活での影響
長時間の座位や、片側に重心をかける立ち方・歩き方は、内転筋の不均等な使い方を引き起こし、筋肉の一部が過緊張状態になることがあります。
(2) 骨盤の不安定性
- 内転筋は骨盤の安定性をサポートする筋肉でもあるため、骨盤が歪んでいると、そのバランスを取るために過剰に使われることがあります。
- 骨盤が後傾している場合や、片側に偏った姿勢を取る癖があると、内転筋に過度な緊張が生じます。
(3) 柔軟性の低下と筋膜の癒着
- 長時間のデスクワークや運動不足によって股関節周囲の柔軟性が低下すると、内転筋が縮みやすくなり、結果的に硬くなります。
- また、筋膜が癒着することで筋肉の動きが制限され、硬さを感じる原因となります。
(4) 他の筋肉とのアンバランス
- ハムストリングスや大腿四頭筋とのアンバランス
内転筋と周囲の筋肉(ハムストリング・大腿四頭筋)とのバランスが悪い場合、内転筋が過剰に働き、筋肉が緊張しやすくなります。 - 体幹や骨盤底筋の弱化
体幹や骨盤底筋が弱いと、骨盤の安定を内転筋が補おうとするため、負担が増します。
(5) 股関節の可動域制限
- 股関節の内外旋や屈曲・伸展の可動域が制限されていると、内転筋に負担が集中しやすくなります。特に股関節が硬い人は、内転筋が引っ張られるような感覚を覚えることが多いです。
(6) 血行不良
- 内転筋は股関節の奥深くに位置するため、座りっぱなしや同じ姿勢を続けることで血行が悪くなりやすいです。血流が低下すると筋肉が硬くなる原因になります。
3. 硬くなると起こりやすい影響
- パフォーマンス低下:内転筋の硬さがあると、股関節の動きが制限され、スムーズな動作が困難になります。
- ケガのリスク増加:硬くなった内転筋は、肉離れや腱の炎症を起こしやすくなります。
- 姿勢の悪化:内転筋が硬いと、骨盤や腰椎のバランスが崩れ、姿勢が悪化します。
- 腰痛や膝の痛み:内転筋の硬さが原因で骨盤の安定性が低下すると、腰や膝に負担がかかり、痛みが生じることがあります。
4. 予防・ケアとしての練習前ストレッチ
内転筋の硬さは、日常生活の習慣や運動時のフォーム、姿勢のバランスによって影響されやすいです。硬さを防ぐためには、柔軟性を維持しながら筋力のバランスを整えることが重要です。
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